桜梅桃李



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自分自身に

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他人を励ますことはできても

自分を励ますことは難しい

だから─というべきか

しかし─というべきか

自分がまだひらく花だと

思える間はそう思うがいい

すこしの気恥ずかしさに耐え

すこしの無理をしてでも

淡い賑やかさのなかに

自分を遊ばせておくがいい


~吉野 弘 『自分自身に』



今日は息子の卒業式だった。

200人以上の子どもが壇上へ上がり下りてゆくのを眺めながら、いろいろなことを想った。
親としてやってあげられなかったことも多かった。
寂しい思いをさせたのではないか。
自分は寂しいと言えない子どもだったが、息子もそうなのではなかろうか。

壇上でスピーチしている後輩の女の子が、涙声になった。
さらに生徒会長だった男の子も、話しながら泣き出した。
合唱はいまもむかしも変わらず、『大地讃頌』。
思いがけず美しい歌声。

先生の司会は噛みまくりだったが、なんだか不思議に爽やかな式典だった。

自分の卒業式じゃないのに、なんだか寂しい。
おれいを言いたいひとがたくさんいるような気がしたけれど、人波に紛れて外へ出る。

ひとは自ら願って生まれてくるが、いま生きているのは自分の一存ではない。
一子は高校生になり、二子は中学に上がり、あたしは小さな図書館への異動が決まっている。
離れて、巡り逢う。嬉しいことは、いつも寂しさと裏表だ。

ひとはひとりでは生きていけないから
かならず誰かがそっと 支えてくれているはずだから
誰が見ていなくても 自分がいいことだと信じることを
優しさだと信じられることを 淡々とやっていこう
それは あなた自身をご機嫌にすることだから
キット 巡り巡って 誰かが笑顔になることだから

オメデトウ!
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by udonge7030 | 2014-03-20 15:01 | 日々のあわ

まど・みちおさん

c0234001_1919045.jpg猫を囲む



























温かさと冷たさを繰り返すなかに、ちいさな春を感じてわくわくする。

2月の末日、まど・みちおさんが逝った。
まどさんの詩は有名すぎるけれど、なにせ詩の世界はマイノリティすぎる。
まどさんの詩の素晴らしさがもっと伝わればいいのにと想う。

勤務する図書館の児童室では『まどさん ありがとう』という展示をはじめた。
まどさんの絵本や詩集を集めたささやかな陽だまり。

詩なんか大人だって読まないのに、子どもだって読まないよね。
(だって、子どもは詩そのものだもの。)
そんななかで展示の本の売れ行きが上々で、嬉しい。

まどさんは、川向うのホームで暮らしていたので、お会いしたこともないのに、
川へ向かって お~い、まどさ~ん!  と呼びかけたくなる。
生きていても死んでいても、あたしにとってのまどさんは、まどさんで、
それは富士山に向かってお~い! っていうのに似ているんだな。

ある新聞での取材の際に「ご自分の詩で嫌いな作品はありますか」と尋ねられ、
<一ねんせいになったら>は少し嫌いです、と答えたまどさん。
そんな正直なまどさんが、大好き。


─ また こんどね
と幼い子にいった

─ また こんどとか
いつかとか いわないで
いますぐがいい
といわれた

わたしも
いますぐがいい


『いますぐがいい』まど・みちお



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by udonge7030 | 2014-03-04 19:31 | 偏愛劇場


酒と 歌が あるから