桜梅桃李



<   2013年 04月 ( 7 )   > この月の画像一覧


早川義夫ライブ

c0234001_22125236.jpg



























先日、渋谷のラストワルツにて開催された早川義夫さんのライブへゆきました。
相方はギタリストの佐久間正英さん。

早川さんのお名前は新聞の書評で読んで知っていました。(それはきらきらした本気の
文章だったので、切り抜いてとってあったのです。)そして、最近勤務先の図書館で
出逢った本から、早川さんに対してさらに関心を持ちました。

早川さんはその昔伝説のバンドマンで、二十代半ばで結婚し本屋の店主になり、
たしか四十代で歌手に戻るという興味深い経歴を持っています。

さて、ライブ当日。開始時間を間違えたうえ、方向音痴のため大遅刻しましたが、
なんとか後半1時間余を堪能することができました。

唯一知っている曲『サルビアの花』は聞きあぐねたけれど、『父さんへの手紙』
『あの娘が好きだから』『音楽』という曲をぶっ続けで唄ったときは、ムンクの画
「思春期」のような姿勢で息を詰めて聞き入ってしまいました。


『音楽』 作詞・作曲 早川義夫

声を出さなくとも 歌は歌える
音のないところに 音は降りてくる
ぽっかり浮かんだ丸い月 あなたの笑顔
存在そのものが 音楽を奏でる

歌を歌うのが 歌だとは限らない
感動する心が 音楽なんだ
勇気をもらう一言 汚れを落とす涙
日常で歌うことが 何よりもステキ

言葉は自分の心を映し出すもの
何を語っても叫んでも鏡に映るだけ
本当に素晴らしいものは解説を拒絶する
音楽がめざしているのは音楽ではない

僕は何をするために 生まれて来たのだろう
何度も落ち込みながらも 僕は僕になってゆく
夜空に放つ大きな花 身体に響く音楽
何の野心もなく 終りに向かって歩く


存在の音楽。生きていることが、音楽。
生きているものはみんなその匂いや色や、指先や背中で音楽を奏でている。
地球も、花も猫も。みんなみんな。

その歌からは、言葉以上のものが伝わってくる。まっすぐな言葉。
そのまんまの声。言葉なんて事の端だってこと。
そんなことを思い出させてもらったような気がする。

早川さんは声がいいとか歌が巧いとかカッコいいとか、魅せて惹きつける
タイプの歌い手ではありません。
ほとんどの曲が同じトーンだし、ブルーだし(ユーモラスでもあるけれど)、
好き嫌いははっきり分かれるんじゃないかな。

あたしは案の定好きになってしまいました。
ギターの佐久間さんも初聴でしたが、プレイといい佇まいといい、
一見控えめだけどエッヂが効いていて、とっても素敵でした。

諦めないで行ってよかった。
渋谷駅周辺を迷って駆け回った甲斐のあったあったかい夜でした。
[PR]
by udonge7030 | 2013-04-30 22:19 | 偏愛劇場

ペドラーさん

買いものの話。
あたしは元気のないときにどうなるかというと、いろいろあるのですが、
いっぱい買いものをしてしまうようです。

この春、ふらりと立ち寄った店で、アンティークをリメイクした白いブラウスを買いました。
着るとババアの天使ちゃんみたいなので子どもに呆れられましたが、久しぶりに
ときめいてしまったのだもの。

それから、とっても売れているらしい美容器具を買いました。
ペドラーさんにてKOTONさんの綿パンを買いました。これは天使ちゃんとよく合います。
そして、自転車が寿命で壊れたので購入。

まるで『はらぺこあおむし』のよう。合計すると結構な金額です。
本当は買いもの大好きなのですが、お金があると使ってしまうので、
できるだけよろめかぬよう、馬のように前だけ見て暮らしています。
モード雑誌も見ませんし、ヒルズやミッドタウンには近づきません。

美容器具なんてほとんど買ったこともなかったのに…。
せっかくなので、せっせと使いましょう。(泣笑

さて、ペドラーさんは、JRと京王線の橋本駅そばにあります。
出会いのきっかけはヤンマ産業さんの展示会でした。

ヤンマさんはユニークなメイカーです。
社長のヤマサキさんがデザインし、たとえば会津木綿を使って、地元・吉祥寺の
腕自慢のおばあさま(おぢいさまも)が縫製。
注文してから服ができあがるまでに半年くらいはかかりますが、
忘れたころに服が届くのでおお、タイムマシン感覚で楽しめます。

ヤンマさんを通じてペドラーさんを知りましたが、とても素敵なお店なので、
やっぱり近づかないようにしています。
でも誰かに贈りものを選ぶとき、ここへ足を運んでしまいます。

皮製品のメイカーANDADURAのお財布も、ペドラーさんで。
お財布替えよう。どこかにいいのないかな。
ペドラーさんにあったような気がする…
なんだか四次元ポケットのようなお店なのです。

以前民芸品店で購入した、くるみの木の皮で編んだかご。
持ち手が壊れてずうっと放置していたのですが、ペドラーさんから
かごやさんの情報を得、修理することができました。
かごやさんは、そこで買ったもの以外も修理してくれます。
ただし、仕上がりまで数か月かかりますが。

ペドラーさんで出会った服もお財布も、くるみのかごもみんな手作り。
みんな国産品です。手作りも国産品も手ごろとは言えない。
でも、量販店で10個買うより、ひとつのお気に入りを直したり手を入れて
使いつづけられるって、贅沢なことだと思うのです。

ペドラーさんは、開店して10年経つそうです。
日月休み。営業は12時から18時。
店主の村山さん曰く、「胸がキュンとしてしまう」雑貨やお洋服に出逢えるかも。
週末には、パンやお菓子の催事もやっています。


c0234001_9125647.jpg
[PR]
by udonge7030 | 2013-04-26 09:31 | 偏愛劇場

猫とおじさん

おじさんが、ウインドブレーカーの胸元になにか大事そうなものを抱えている。
近づくと少し迷惑そうな表情を見せたが、あたしの好奇心はすでに
「こねこちゃんですか?」と尋ねていた。

・・・この6月で21才になるね。
施術をさせたくないから、薬だけもらいにきてるんだ。


茶トラの猫は顔だけ覗かせて、おじさんの胸の中にすっぽりくるまれているが、
目はしょぼしょぼ。たぶん体重は2キロを切っているだろう。

一昨年死んだうちの猫は20才だったが、死ぬ前日まで元気だった。
しかしあたしは猫の老化に疎かったし、病院嫌いなその子を
あまり診てもらわなかった。

もっと早く腎臓食に切り替えていたら。
自宅でこまめに皮下注射を打っていたら。
外に出すことを控えていたら… 
もしかしたら今頃も生きていたかもしれない、と思うことがある。

猫を思うと、胸の中をひゅうと冷たい風が通る。
出産と育児で余裕がなく、猫の存在を恨めしく感じたこともあったから。
なのに猫は死ぬ間際にも、そっと撫でると息も絶え絶えの中
ちからをふりしぼって、喉をごろごろ鳴らして応えてくれたんだ。

21才の猫は、大事にされてしあわせそうに見えた。
しかし、ほんとうにしあわせなのはおじさんだ。

猫ちゃん、愛させてくれてありがとう、なのだ。


c0234001_81216.jpg
[PR]
by udonge7030 | 2013-04-26 08:02 | 日々のあわ

天使の分け前

c0234001_19334287.jpg


初夏のような陽気の佳き日に天使の分け前 を観にゆく。
スコッチウイスキーとケン・ローチ。行くっきゃないでしょ!

天使の分け前とは…
ウイスキーなどが樽の中で熟成されている間に、年2%ほど蒸発して失われる分のこと。
10年もの、20年ものと年数を重ねるごとにウイスキーは味わいを増し、
それとともに天使の分け前も増していく。
(『天使の分け前』HPより)

前科者のヤンキー青年たちが、オークションにかかるウイスキーを盗みにゆく際に
身に着けていたのは、キルト。
伝統服=ウイスキーオタクに見えるから、たぶん怪しまれないだろ…という
なけなしの智慧。めんこくってたまんないんだな。
キルトが似合う男、いいねえ。

銀座をぶらぶらしていたら、つつじの花を手にしたスキンヘッズを発見。
なんとなくハゲまされた昼下がり。
[PR]
by udonge7030 | 2013-04-20 19:34 | 日々のあわ

あなたのなかのあたし

先月のこと。
仕事で一番お世話になったひとに、「いままでご一緒してくれてありがとう」
とおれいを言いました。

そのひとは、「ちからになれなくてごめんなさい」と答えました。
それは、彼女にとっては社交辞令だったかもしれません。

そのとき、自分も同じことを思っていたけど、そんなしみったれたことは言うまいと
黙っていたので、びっくりしてしまいました。
彼女の口から、あたしが洩れてきたから。

c0234001_817561.jpg

手考足思(しゅこうそくい)     河井寛次郎

私は木の中にゐる石の中にゐる、鉄や真鍮の中にもゐる、
人の中にもゐる。
一度も見た事のない私が沢山ゐる。
始終こんな私は出してくれとせがむ。
私はそれを掘り出し度い。出してやり度い。
私は今自分で作らうが人が作らうが
そんな事はどうでもよい。
新しからうが古からうが西で出来たものでも
東で出来たものでも、そんな事はどうでもよい、
すきなものの中には必ず私はゐる。

私は習慣から身をねじる、未だ見ぬ私が見度いから。

私は私を形でしやべる、土でしやべる、火でしやべる、
木や石や鉄などでもしやべる。
形はじつとしてゐる唄、
飛んでゐながらじつとしてゐる鳥、
さういふ私をしやべり度い。
こんなおしやべりがあなたに通ずるならば
それはそのままあなたのものだ。
その時私はあなたに私の席をゆづる。
あなたの中の私、私の中のあなた。

私はどんなものの中にもゐる
立ち止つてその声をきく
こんなものの中にもゐたのか
あんなものの中にもゐたのか

あなたは私のしたい事をしてくれた、
あなたはあなたでありながら、
それでそのまま私であつた
あなたのこさへたものを、
私がしたと言つたならあなたは怒るかも知れぬ。
でも私のしたい事を
あなたではたされたのだから仕方がない。

あなたは一体誰ですか
さういふ私も誰でしやう
道ですれちがったあなたと私

あれはあれで、あれ
これはこれで、これ
言葉なんかはしぼりかす

あれは何ですか、あれはあれです。
あなたのあれです。あれはかうだと言つたなら
それは私のものであなたのものではなくなる。

過去が咲いてゐる今
未来の蕾で一杯な今


『蝶が飛ぶ葉っぱが飛ぶ』 講談社文芸文庫
[PR]
by udonge7030 | 2013-04-09 08:19 | 日々のあわ

主婦の地位

c0234001_14482988.jpg
近所のガレージ。PEACE!


マンションの敷地でボール遊びをして、同じおばさまに何度も怒鳴られている
愚息たちを連れて、近場の温泉へ。大風が吹いたわりには、まだまだ桜が見頃の
野川を横目に、ぞろぞろと自転車で出かけた。

温泉は午前中は極空いている。
息子たちの素行が気になるが、じゃあねと別れて女風呂へ。
聞き耳を立てると、子どもたちの声がするので、てっぺんの檜風呂のへりに立ち、
男湯を覗くと、思いがけず裸の息子たちが見えたので、慌てて湯船に浸かった。

お風呂には、風水やら陰陽五行に基づくうんちくがあって、
ちなみに赤い部屋の岩風呂には、
小腸や心臓が弱ると気力が損なわれ、主婦としての地位が危ぶまれます
みたいなことが書いてある。なんかへんな日本語だし、主婦としての地位ってなにさ?

ストレートに、性欲が増しますよとでも書けばいいのに!

露天風呂には、桜の花びらが浮いている。
見知らぬおばさまが、こんなお風呂には楊貴妃だって入れないわよ。いい日ね…
と目を細めている。

ひさしぶりに体重を測る。少し太っていた。
大事なのは数字よりも形である。誕生日までに、もすこしシュッとしよう。
初夏の剣さんのライヴへはチャイナドレスで出かけよう。
息子にはアホじゃね? と言われそうだが、ささやかな目標ができた。

お風呂上がりに、飲みものを買った。
一子はコーヒー牛乳、二子と三子はラムネを選んだ。
中庭へ出て火照った肌を冷ます。いや、それにしても暖かな日。

かえりみち、『しらたか』へ寄ると、奥のテーブル席が空いていた。
子どもは壁に沿って横並びに、あたしは手前に坐る。
しょうゆ、みそ、塩、しょうゆ大盛りと餃子ふたつ。

ここのラーメンは、北海道のその辺で食べるラーメンの味がするから、好き。
北海道では、その辺のラーメン屋でも十分美味しい。
と言うと店主に悪い気もするが、とくに豪華でも珍しくもないラーメンを
美味しく淡々と作り続けている姿は立派である。

へんぴな場所にあるのに、お客さんは後を絶たない。
近所と言っても家から近くはないので、来なきゃよかったと
ブツクサ言っていた二子も、無言で旨そうに食べていた。

落ちがないけど、このへんで。
[PR]
by udonge7030 | 2013-04-04 15:43 | 日々のあわ

うたってひきこもるのは難しい

c0234001_1856279.jpg春巻きに小さな薔薇。めんこい…


























昨年末から、HOT MUSIC SCHOOL でうたのレッスンを受けている。

講師の小川美潮先生は歌手で、ソングライターでもある。
しかし、自分はとくにファンではなかったので、先生の歌をちゃんと聴いてこなかった。

プロに対して失礼なようだが、先生は歌がすこぶる巧いのだった。
CMソングなどもやっているので、その声は誰でもきっと耳にしたことがあるはずだ。
持ち歌の楽曲は可笑みがあったり不思議な感じのものが多く、
ユニークなイメージが前面に出ているのだけれど、じつは
「きっと天女の歌声ってこんなだよね」と思わせる、ど真ん中の美声と歌唱力を持っている。

そして、美潮さんには歌を通して伝えたいこと、やり遂げたいことがちゃんとある。
それは歌い手として一番大切なことだ。


初めてレッスンを受けたとき、正直に「そんなふうに歌えたらうれしいなと思ったので
来てみました」と伝えた。「そんなふう」とは技術的なことではなく、ある種の誠意とか
透明さとか、そんなである。冷静に考えると、めちゃめちゃ迷惑な生徒だ。

しかし美潮さんは
ほんと、みんなもっと歌えばいいのにね~。
願いごとは紙に書くより、歌ったほうが叶うんだよ~

と、それこそ歌うように答えたのだ。

(このひと、なんか巫女っぽい。全うすぎるぞ。いいな~。)
言い分があまりにも可笑しくって、ゲラゲラ笑ったんだっけ。
そう。元来歌や踊りは神への捧げものであり、死者のたましいを鎮めるものなのだ。

 歌は目に見えない精霊のごたるもんたい。大気をさ迷うていた長崎ぶらぶら節が今、
うったちの胸の中に飛び込んできた。これをこんどうったちが吐き出せば、
また誰かの胸の中に入り込む。その誰かが吐き出せば、また誰かの胸に忍びこむ。
そうやって歌は永遠に空中に漂いつづける。これが歌の不思議でなくてなんであろう。
 

(なかにし礼『長崎ぶらぶら節』より抜粋)


あたしはとくに歌が巧いわけではないし、ド下手でもないが、
上達したいし、合唱やバックコーラスをやりたい。
好きなひととたとえ身体をあわせられなくても、声をあわせることはできるかもしれない。
初めて会うひとや、言葉の通じない相手とでも、声をあわせることはできる。

レッスンは月に2度。うちではお風呂時間や、家族の邪魔にならなさそうな時間に練習をする。
迷惑かなと思ったが、うるさいと言われたことはまだない。あまりにも本気なので、
切実さが伝わっているのかな。(…怖くて言い出せないのかもしれないね。笑

レッスンではジャズのスタンダード、童謡、ポップスなんかを歌う。
当初、英語の歌はなかなか覚えられなくて苦痛だったけれど、少しづつ慣れてきた。

本を読んだり、文章を書くときは集中してしまってまわりが見えない。
でも歌ってるときは、嫌でもオープンになるしかない。すると子どもが寄ってきて、
声をあわせることもある。子どものほうが早々覚えてしまって、ひとりでうたっていることもある。


 あなたが歌ふとき 胸はまるくなって 
 ザラザラの心は いつかとけてなくなるの
 今は忘れてた 笑顔とりもどせば 
 それだけでいいと
 しあわせを妬いたり 寂しさがわかったり 
 迷路をほら 通り抜けて
 はじめに進む 
 はじめて進む 時間
 
(歌詞:小川美潮『はじめて』より)


近いうちに、友だちの合唱団に混ぜてもらうことになっている。
どんなひと、どんな顔、どんな声に会えるかな? わくわくする!
[PR]
by udonge7030 | 2013-04-02 19:05 | 偏愛劇場


酒と 歌が あるから