猫を囲む
温かさと冷たさを繰り返すなかに、ちいさな春を感じてわくわくする。
2月の末日、まど・みちおさんが逝った。
まどさんの詩は有名すぎるけれど、なにせ詩の世界はマイノリティすぎる。
まどさんの詩の素晴らしさがもっと伝わればいいのにと想う。
勤務する図書館の児童室では『まどさん ありがとう』という展示をはじめた。
まどさんの絵本や詩集を集めたささやかな陽だまり。
詩なんか大人だって読まないのに、子どもだって読まないよね。
(だって、子どもは詩そのものだもの。)
そんななかで展示の本の売れ行きが上々で、嬉しい。
まどさんは、川向うのホームで暮らしていたので、お会いしたこともないのに、
川へ向かって
お~い、まどさ~ん! と呼びかけたくなる。
生きていても死んでいても、あたしにとってのまどさんは、まどさんで、
それは富士山に向かってお~い! っていうのに似ているんだな。
ある新聞での取材の際に「ご自分の詩で嫌いな作品はありますか」と尋ねられ、
<一ねんせいになったら>は少し嫌いです、と答えたまどさん。
そんな正直なまどさんが、大好き。
─ また こんどね
と幼い子にいった
─ また こんどとか
いつかとか いわないで
いますぐがいい
といわれた
わたしも
いますぐがいい
『いますぐがいい』まど・みちお