先日のこと。図書館のカウンターに座っていたら、
身体の大きな男性が、こっちへ来てくださいという。
もめごとかしら・・・ 不安なきもちで後を追ったら、
窓際の壁に、美しいアゲハチョウが静かに羽を広げていたのだった。
男性は、「これはチョウだろうか、蛾だろうか」と尋ねる。
ちょうちょです。ここは高層で窓が開かないのに、
どうやって入ったんでしょう。捕まえましょうね。
そのひとは、「外へ逃がしてきます」と言う。
1階まで降りなくてはいけないのですが、
お願いしてよろしいのでしょうか。
そのひとは、チョウの羽を左右から両手でつかみ、
「可哀想だからな」とつぶやきながらエレベーターに乗った。
ああ、羽をつかんじゃダメだったら… という言葉を飲みこみ、
わあ、ありがとうございます! 頭を下げて見送った。
そんな日。